忍者ブログ
自由主義と共産主義の間、グローバリズムとナショナリズムの間の今は何処? <外道たちの最中で> 切ない事情 
[101] [103] [98] [96] [95] [92] [97] [93] [91] [86] [94
Posted by - 2025.05.06,Tue
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by 残心 - 2015.04.19,Sun
確かに商売人としては、賃金は安い方がいいでしょうけど・・。
 ・【青木泰樹】泣きっ面に蜂。  (三橋貴明の「新」日本経済新聞

厚労省の提唱する「新しい労働時間制度」、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプション(WE)は、1日8時間・週40時間の労働時間規制の適用を除外する制度です。
―――――――――――――――――――――――――――――――
名前を変えて国民の目を欺こうとしているようですが、中身は変わりません。
ホワイトカラーに対する「残業代ゼロ法案」です。
当面、対象者は年収1075万円以上の高度専門職となっております。
しかし、これも最初は対象者を絞り、導入してから徐々に対象範囲を広げてゆく「蟻の一穴」作戦でしょう。姑息極まりない。

本来、労働基準法は労働者を保護するための法律です。無論、厚労省も国民の健康と生活を保護することが仕事でしょう。
現行において労働時間規制が守られていないのは労基法36条の規定(サブロク協定)があるためですが、唯一の歯止めが残業に対する割増賃金の存在なのです。
それを無くそうとしているわけですから、開いた口が塞がりません。
先ずもって為すべき労基法の改正は、過労死ラインと言われる月80時間以上の残業を法律で禁止することです。それが全ての原点でしょう。
タダで長時間残業をさせられた挙句、「過労死すれば自己責任」では勤労者はたまったものではありません。
―――――――――――――――――――――――――――――――
脱時間給制度を支持する経済学者は二言目には時間換算で成果を測れない仕事が増えていると主張しますが、具体的に如何なる仕事がそうなのかを指摘することはありませんできないのです
―――――――――――――――――――――――――――――――
この改正案が通ったところで、一般企業に社員の評価システムを変更する強制力はありませんから、今まで通りです。ただし残業代がゼロで済むメリットが企業側に生じます
将来的には日本経団連が要望するように、全労働者の10%以上、年収600万円以上のホワイトカラーが対象とされるのでしょう。
それも省令改正によって簡単にできてしまうのです。
特定の組織や集団の利益のために制度を変更させる行為をレント・シーキングと言いますが、今回の労基法改正案は企業一般、特に大企業のためのそれと断ぜざるを得ません。

さらにその上を行く、分かり易いレント・シーキングが労働者派遣法の改正案です。
その主内容は、派遣期間規制の緩和です。
これまで派遣先の事業所における派遣労働者の受け入れ期間は最長3年間で、それ以降は直接雇用する必要があったのですが、それが事実上無制限になりました。
また同一人の派遣労働者の受け入れは3年を上限とすることになりました。

派遣先の企業にとっては特定の業務に関し正社員を雇うことなく、今後ずっと派遣労働者に任せられるというメリットが生じました。
つまり派遣業務の固定化が可能となったのです。
今後、様々な業務で派遣社員の受け入れが始まるでしょう。派遣社員に対する需要の増加です。逆から見れば、それは正規社員の採用の減少を意味するわけです。
他方、派遣社員の方は正規社員の道が閉ざされることになりますから、不安定な雇用状態が継続することになります。

同一労働・同一賃金」が確立されている欧州諸国と異なり、日本では正規社員と非正規社員では歴然とした格差があります。
国税庁の民間給与実態調査によれば、2012年時点で、正規社員の平均年収は467万円、これに対し非正規は168万円です。
非正規の給与は正規の36%にすぎないのです。

派遣社員に対してはボーナスを支給する必要はありませんし、社会保険料事業主負担もありません。
正社員の給与に消費税は課税されませんが、派遣社員へ支払う外注費は消費税の仕入れ税額控除の対象になります。
さらに解雇も容易ですし、退職金も支払わないで済みます。
こうした非正規雇用のメリットが存在する限り、企業側に正規から非正規へ代替する誘因が生じてしまうのです。

労働者派遣の基本構造は、同一業務における正規と非正規の給与差額が、収益として派遣先企業と派遣元企業(派遣会社)に分配されることです
すなわち、勤労者から企業への所得移転が生じるのです。それは勤労者の所得の収奪と言えます。
今回の改正案は、同一労働・同一賃金が実現していない状況において、派遣社員を増加させる方策ですから、マクロ的に見て勤労者の窮乏化は今後ますます進行するでしょう。
もちろん、勤労者が窮乏化、貧困化すればするほど、派遣先および派遣会社は儲かることになります。正にトレード・オフ。

派遣会社が一番儲かる状況は、現状において社員全員が派遣社員になることです。
雇用者全員が派遣会社を介して就業している状況下では、全員が派遣会社にマージンを払い続けなければなりません。その時、派遣業界の利潤最大化が達成されるのです。
以前、産業競争力会議の民間議員で派遣大手パソナの会長である竹中平蔵氏が「正社員をなくせばいい」と発言したのは、このためです。
とても分かり易いレント・シーカーですね。
さらに竹中社中とおぼしき経済学者の八代尚宏氏、大田弘子氏等もマスコミを通じての援護射撃を怠りません。

代表的な彼等の論理は、「労使対立」を正規と非正規間の「労労対立」にすり替えることです。
「正規と非正規の格差問題の根源は、正社員が過度に保護されているからである。非正規社員の待遇改善のためにも同一労働・同一賃金の制度をつくらなければならない。その第一歩が正規・非正規の垣根をなくすことである」と。
この手の詭弁には注意しなければなりません。

彼等の唱える同一労働・同一賃金とは、正社員の給与を限りなく派遣社員へ近づけることを意味しています。
いわば正社員の足を引っ張って収斂させようとしているのです。
言うまでもなく、勤労者のためには、非正規の待遇を正規へ近づけることによって同一労働・同一賃金が達成されることが肝要なのです。
派遣社員の手を引っ張り上げることで収斂させなくてはなりません。
同一の概念であっても目的地は手段の選択によって真逆となるのです。ひとつは企業にとってのパラダイス、他は派遣社員にとってのそれです。

レント・シーカー達の考える解雇規制の緩和に関しても、正社員の既得権益を問題視して解決策を考えるという点で、これまでの議論と軌を一にするものです。
この場合には、解雇の金銭解決の制度化が「同一解雇ルール」になるわけです。
現在は解雇の正当性に関して裁判による判断が必要となっておりますので、金銭解決が可能となれば、裁判を避けたい大企業にとって有利になるというシナリオです。

以上の勤労者いじめ三点セットが実現したら日本の将来はどうなるのでしょう。
正社員は無償の長時間残業によって疲弊し、会社にとって不要と判断されるや多少の金銭で解雇され、低賃金の派遣労働者が急増し、対するに竹中氏は大笑いという未来像が仄見えてくるのです。

安倍政権は誰のために政策を行なっているのでしょうか。
第一次安倍内閣時代、安倍総理は竹中氏と共に「労働ビッグバン」を成し遂げようとしました。
現在は「労働規制という岩盤規制を安倍ドリルで突き崩す」に表現は変わりましたが、中身は同じです。勤労者にとっては一層厳しくなっているかもしれません。
安倍総理のドリルの先にあるのは「正社員の既得権益」のようです。その粉砕は派遣会社の利益に直結します。
現在の就業者の約三分の二の人達の生活が標的となっているのです。

正社員の既得権益というのも実に不適切なレッテル張りです。
1985年に労働者派遣法が制定されて以降、幾度かの改正によって徐々に派遣労働の対象範囲が拡大してきました。
法律の制定および改正にあたって、同一労働・同一賃金の原則を取り入れなかったことが低待遇の派遣労働者を生んだ原因です
完全に政策策定ミスによって生じた正規・非正規間格差を、今更、何の咎もない正社員へ責任転嫁するとは主客転倒も甚だしい。
決して正社員が悪いわけではありません。
そのうち外国人労働者の受け入れを始めれば、その時は「日本人の既得権益」を問題視するのでしょう。嘆かわしいことです。

安倍総理は日本を「世界で一番ビジネスのしやすい国」にしようと言明しています。
今後、法人税減税を繰り返し、労働規制の緩和を実施すれば、確かに企業にとって低コストの生産が可能となるでしょう。
しかし、国民経済を支えているのは自国の勤労者であることを忘れてもらっては困ります。
安倍総理には、勤労者が疲弊し窮乏化すれば、その延長上にある国民経済も活力を失うという当たり前の事実を再認識して頂きたいと願うばかりです。  (抜粋)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
残業代 幾らやっても 無報酬      サービス残業者
費用減 とても助かる 低賃金      悪徳経営
賃金を コストと思う 企業人      明治起業人
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
賃金をコストと考えると減らすことが良いこととなるが、それは小さく狭い考えでは?
何処かのグローバル企業のために、日本国民を忙しくて貧乏な国民にしようというのか。
そのうち日本が日本ではなくなっていくようで憂鬱。

拍手[0回]

PR
Comments
Post a Comment
Name :
Title :
E-mail :
URL :
Comments :
Pass :   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
残心
性別:
非公開
最新コメント
[06/10 zansin a]
ブログ内検索
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]