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自由主義と共産主義の間、グローバリズムとナショナリズムの間の今は何処? <外道たちの最中で> 切ない事情 
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Posted by 残心 - 2015.10.23,Fri
イノベーションと言うと、良いイメージしか持ってないようだが・・・。
【柴山桂太】イノベーションの陰に政府あり  (三橋貴明の「新」日本経済新聞)

《 勝手に要約 》
イノベーションは新商品の出現だけを意味しません。この言葉を最初に経済学に導入した(とされる)シュンペーターは、イノベーションには新商品の他にも、新販路新生産方法新組織新原料など全部で五つのタイプがあるとしています。新しい市場を開拓したり、新しい生産方法を導入したり、企業組織の編成を変えたりと、他の事業者(企業)が行っていない新機軸を導入して利潤を上げる行為はすべてイノベーションです。

シュンペーターがこの概念を導入したのは、経済発展のメカニズムを説明するためでした。しかし、この人は皮肉屋ですから、手放しにイノベーションを賞賛したりはしていません。イノベーションのおかげで巨富を手にする人が出る一方で、失敗者や旧産業の従事者には厳しい現実がやってきます。新商品が出て生活が便利になるという面がある一方で、社会秩序を混乱させる面も確実にあります。新商品が犯罪に使われることもありますし、反社会勢力だって次々にイノベーションをやります(危険薬物の発明とか、販路の拡大とか)から、それによって物理的な被害を受ける人も出てきます。

つまり、イノベーションは人々を幸福にする部分がある一方で、不幸にする部分も少なからずあるという、実に両義的な現象なのです。それでも資本主義社会はイノベーションを続けざるをえない。そうしなければシステムが止まってしまうからです。シュンペーターがイノベーションの概念を用いて明らかにしようとしたのは、資本主義社会のそうした「宿命」とでもいうべき姿だったと、私は理解しています。
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著者マッツカートが書いた本(”The Entreprenerial State”)の邦訳が『企業家としての国家』という題で出ました。

この本は、特に新商品・新技術開発としてのイノベーションが、政府の産業政策によって生み出されてきたという事実を、豊富な事例で説明したものです。民間が手を出さないような事業に、政府が率先してリスクをとって投資をする。その成果を民間が利用することで、世に言う「イノベーティブ」な新商品が次々と生み出されていくメカニズムが、本書を読むとよくわかります。

一番わかりやすい事例がiPhoneです。アップル社の大成功で、スティーブ・ジョブスの偉大さはことあるごとに語られていますが、iPhoneに使われている技術のほぼすべてが、元は政府投資の産物でした。「アップル社の成功の大部分は政府が支援し、助成金を出して行った研究に基づく多くの技術に依存しているという事実は多くの場合、見過ごされている」というわけです。

問題は、こうした基礎技術が政府投資(すなわち税金を用いて行われた投資)の産物であるにもかかわらず、その見返りを政府が受け取っていないということ。アップル社が莫大な利益を上げたのは確かですが、「アップル社に使われている技術開発に投資した(政府)資金のいくらかでも回収できたかとなると疑問が残る。」リスクをとって政府も投資しているにもかかわらず、その対価を十分に受け取ることができない。ここに、著者が指摘する産業政策の難しさがあります。ではどうすればいいのか。著者の提案は、本書の後半に書かれています。

イノベーションは政府の力だけで起こせるものではなく、民間との(多くの場合無自覚な)共同作業の結果です。これは当然といえば当然のことですが、ともすれば規制緩和一辺倒に流れがちな政策論に風穴をあけるという意味でも、本書の意義は大きいといえます。

イノベーションは資本主義社会の「宿命」であり、民間だけでなく国家ぐるみでその創出を目指さなければならない現実がある一方で、次々に生み出される新機軸がわたしたちの生活を混乱させ続けるという現実もある。政策論として見ても、イノベーションがもたらす負の側面まで見ないと(その穴埋めに別の政策コストがかかるわけですから)、十分とは言えないのではないか。シュンペーターは、イノベーションの両義性に自覚的でした。21世紀のイノベーション論が引き継ぐべきなのも、そうした醒めた眼であるように思えてなりません。
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つぎ込んで 上手くいっても 一部のもうけ    税金を私物化
気付かない イノベーションの 負の側面    良いことのみ意識
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勝手に良い面だけしか考えていなかったようである。
イノベーションの「負の側面」、そして「成果の分配」のこと。
少しも考えてなかったような・・・。

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